eGFRとクレアチニンクリアランス(CCr)換算ツール|腎機能計算

eGFR・クレアチニンクリアランス(CCr)換算ツール

本ツールは、血清クレアチニン値・年齢・性別・体重・身長から eGFR(推算糸球体濾過量)eCCr(推算クレアチニンクリアランス) を算出し、相互換算・CKDステージ判定まで一括で行えます。日本腎臓学会推算式(JSN式)および Cockcroft-Gault 式(CG式)に対応しています。

🧪 腎機能換算計算機

✔ 計算結果
標準化eGFR(JSN式)
mL/min/1.73m²
個別化eGFR(体表面積未補正)
mL/min
推算CCr(CG式)
mL/min
標準化eCCr(体表面積補正)
mL/min/1.73m²
体表面積(DuBois式)
理想体重(BMI22換算)
kg
CKDステージ(eGFRより):
eCCr→個別化eGFR換算値(×0.789): mL/min

📋 直近の換算履歴(最大5件)

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    よく用いられる症例設定をワンクリックで入力できます。

    📐 腎機能推算式の詳細

    腎機能の評価には主に以下の式が使用されます。それぞれ目的・特性が異なるため、臨床場面に応じて使い分けることが重要です。

    推算式 計算式 単位 特徴・用途
    JSN eGFRcr(日本腎臓学会式) 194 × Scr−1.094 × 年齢−0.287(女性は×0.739) mL/min/1.73m² 日本人標準、CKD診断・ステージ分類に使用
    個別化eGFR(体表面積未補正) 標準化eGFR × BSA / 1.73 mL/min 薬物投与量設計・腎排泄性薬剤の用量調整に推奨
    Cockcroft-Gault式(CG式) ((140−年齢) × 体重) / (Scr × 72)(女性は×0.85) mL/min 海外で広く使用、添付文書の用量設定基準に多用
    標準化eCCr(体表面積補正) CG式CCr × 1.73 / BSA mL/min/1.73m² 体格補正後のCCrをeGFRと比較する際に使用
    eGFRcys(シスタチンC式) 男性:104 × CysC−1.019 × 0.996年齢 − 8
    女性:×0.929
    mL/min/1.73m² 筋肉量・性別の影響を受けにくい、軽度腎機能低下の鋭敏な指標
    換算の注意点: CG式によるeCCrはクレアチニンが尿細管で分泌されるため、若年者ではGFRより約30%高く推算されます。個別化eGFRへの換算は eCCr × 0.789 を目安とします。eGFRは筋肉量が著しく減少した患者(長期臥床・るいそう・四肢切断)では高く推算されることがあります。

    📊 CKDステージ分類(eGFR基準)

    日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」に基づく重症度分類です。

    GFR区分 eGFR(mL/min/1.73m²) 説明 対応
    G1 ≥ 90 正常または高値 定期的な経過観察
    G2 60 〜 89 正常または軽度低下 生活習慣の改善
    G3a 45 〜 59 軽度〜中等度低下 専門医受診を考慮
    G3b 30 〜 44 中等度〜高度低下 腎臓専門医への紹介推奨
    G4 15 〜 29 高度低下〜末期腎不全 腎代替療法準備
    G5 < 15 末期腎不全(ESKD) 透析・腎移植

    ※重症度はGFR区分のみでなく、蛋白尿区分・原疾患を合わせて総合的に評価します。

    📈 eGFR早見表(血清クレアチニン別・男女別)

    年齢60歳、標準体重60kgの場合の目安値です(JSN式・小数点1桁)。実際の算出には上記計算機をご利用ください。

    Scr(mg/dL) eGFR 男性 eGFR 女性 CCr 男性(CG式) CCr 女性(CG式) CKDステージ目安
    0.697.171.8111.194.4G1〜G2
    0.869.151.183.370.8G2
    1.053.039.266.756.7G2〜G3a
    1.242.631.555.647.2G3a〜G3b
    1.532.023.744.437.8G3b〜G4
    2.022.316.533.328.3G4
    3.013.510.022.218.9G4〜G5
    5.07.45.513.311.3G5

    🔧 換算手順と計算例

    【例】65歳・男性・体重62kg・身長168cm・Scr 1.2 mg/dL の場合

    STEP 1:標準化eGFR(JSN式)を算出

    eGFR(男性) = 194 × 1.2−1.094 × 65−0.287
    = 194 × 0.8047 × 0.2716
    42.4 mL/min/1.73m² → CKDステージ G3b

    STEP 2:体表面積(DuBois式)を算出

    BSA = 620.425 × 1680.725 × 0.007184
    1.72 m²

    STEP 3:個別化eGFR(体表面積未補正)を算出

    個別化eGFR = 42.4 × 1.72 / 1.73 ≒ 42.2 mL/min

    STEP 4:Cockcroft-Gault式(CG式)でCCrを算出

    CCr(男性) = (140 − 65) × 62 / (1.2 × 72)
    = 75 × 62 / 86.4
    53.8 mL/min

    STEP 5:CCr → 個別化eGFR換算(×0.789)

    53.8 × 0.789 ≒ 42.4 mL/min(個別化eGFRとほぼ一致)

    🎯 式の選択ガイド

    臨床場面 推奨される式 理由
    CKD診断・ステージ分類 標準化eGFR(JSN式) 日本腎臓学会ガイドライン推奨
    腎排泄性薬物の用量調整 個別化eGFR または CG式eCCr 体格を考慮した実際の腎クリアランスが必要
    海外添付文書に基づく投与量設計 Cockcroft-Gault式(CG式) 海外の臨床試験では主にCG式が使用されているため
    肥満患者 CG式(理想体重使用) 実体重では過大評価されるため理想体重(BMI22)を使用
    るいそう・長期臥床・高齢者 CG式 または シスタチンC式 筋肉量減少によりScr低値となりeGFRが高く推算される
    軽度腎機能低下の早期検出 eGFRcys(シスタチンC式) Scr式より感度が高く、筋肉量・年齢・性別の影響が少ない

    ❓ よくある質問(FAQ)

    eGFRとCCr(クレアチニンクリアランス)の違いは何ですか?
    eGFR(推算糸球体濾過量)は血清クレアチニン・年齢・性別のみから算出され、体表面積1.73m²あたりに標準化されています。一方、CCr(クレアチニンクリアランス)はCockcroft-Gault式で体重も加味して算出されます。クレアチニンは尿細管でも分泌されるため、CCrはGFRより10〜30%高く推算されることがあります。薬物投与量設計には個別化eGFR(体表面積未補正)またはCG式CCrが推奨されています。
    肥満患者ではどの体重を使うべきですか?
    Cockcroft-Gault式では、肥満患者(BMI 30以上など)に実体重を用いると腎機能が過大評価されます。この場合は理想体重(IBW)= 身長(m)² × 22 を使用することが推奨されています。本ツールでは「理想体重を使用」を選択することで自動計算します。一方、個別化eGFRはBSAを通じて体格を反映するため、肥満の影響は比較的小さいとされています。
    高齢者・痩せた患者でeGFRが高すぎると感じる場合は?
    高齢者やるいそう・長期臥床・下肢切断などで筋肉量が著しく低下している患者は、血清クレアチニン値が低くなるためeGFR(JSN式)が実際の腎機能より高く推算される場合があります。このような場合は、シスタチンC値に基づくeGFRcysや、CG式(理想体重使用)を補完的に用いることが推奨されます。
    CCrからeGFRへ換算する係数0.789とは何ですか?
    Cockcroft-Gault式によるeCCrは、クレアチニンの尿細管分泌によりGFRよりも約30%高く推算されます。そのため、CG式のeCCrに0.789を乗じることで個別化eGFR(mL/min)に近似換算できます(実測CCrの場合は0.715を乗じます)。この係数は日本腎臓病薬物療法学会(JSNP)が推奨しています。
    シスタチンCに基づくeGFRはどのような場合に有用ですか?
    シスタチンC(CysC)は筋肉量・性別・年齢の影響を受けにくいため、高齢者・るいそう・筋疾患患者など、Scrが正確な腎機能を反映しにくい場合に特に有用です。また、GFR 60〜90 mL/min/1.73m²程度の軽度腎機能低下の検出においてScr式より感度が高いとされています。ただし保険上は3ヶ月に1回しか算定できない点に注意が必要です。
    標準化eGFRと個別化eGFRはどう使い分けるのですか?
    標準化eGFR(mL/min/1.73m²)はCKDの診断・ステージ分類・腎機能の経過観察に用います。一方、個別化eGFR(mL/min)は体表面積未補正のため、腎排泄性薬物の投与量設計に適しています。体格が標準(BSA ≒ 1.73m²)の場合はほぼ一致しますが、小柄な患者では個別化eGFRが低く、大柄な患者では高くなります。薬物投与量の設計では個別化eGFRを使うことで過剰投与・過少投与を避けられます。
    小児にはこれらの式は使えますか?
    JSN式(194×Scr^−1.094×年齢^−0.287)およびCockcroft-Gault式はいずれも成人(18歳以上)を対象に開発されており、小児には適用できません。小児のeGFR算出にはSchwartz式(eGFR = k × 身長[cm] / Scr)が推奨されています。本ツールは成人を対象としていますので、小児への使用はお控えください。

    📚 参考文献

    1. 日本腎臓学会(編). エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023. 東京医学社, 2023.
    2. Matsuo S, Imai E, Horio M, et al. Revised equations for estimated GFR from serum creatinine in Japan. American Journal of Kidney Diseases. 2009;53(6):982–992. doi:10.1053/j.ajkd.2008.12.034
    3. Cockcroft DW, Gault MH. Prediction of creatinine clearance from serum creatinine. Nephron. 1976;16(1):31–41. doi:10.1159/000180580
    4. 日本腎臓病薬物療法学会(JSNP). 薬物投与量設定に使用する腎機能推算式. 2022. https://www.jsnp.org/egfr/
    5. Horio M, Imai E, Yasuda Y, Watanabe T, Matsuo S. Modification of the CKD epidemiology collaboration (CKD-EPI) equation for Japanese: accuracy and use for population estimates. American Journal of Kidney Diseases. 2010;56(1):32–38.
    6. Levey AS, Stevens LA, Schmid CH, et al. A new equation to estimate glomerular filtration rate. Annals of Internal Medicine. 2009;150(9):604–612.
    7. Du Bois D, Du Bois EF. A formula to estimate the approximate surface area if height and weight be known. Archives of Internal Medicine. 1916;17(6):863–871.
    8. 平田純生, 他. 患者腎機能の正確な評価の理論と実際. 日本腎臓病薬物療法学会誌. 2016;5(2):3–20.
    免責事項:本ツールは医療従事者・学習目的のための参考計算ツールです。算出された値は推算値であり、実際の診断・治療方針の決定には必ず担当医師・薬剤師にご相談ください。本ツールの使用による損害について、当サイトは一切の責任を負いません。